世界都市照明調査

ドバイ, UAE

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世界都市調査 in Dubai, Abudabi, UAE

01_郊外からみたドバイの繁華街

渡辺元樹 + 林虎

中東のハブになるドバイ。 前回調査の 2003 年から経済発展と共に10年で大きく変わった街の照明を、街を装飾する演出の光と街の生活の中にある活きる光に分けて調査した。一方、アジアとヨーロパの中継地であるトルコのイスタンブールは都市そのものが文化遺産である。その文化を守りながら発展してきた古い都市に残る光を調査した。

Dubai / ドバイ

飛行機から地上を観察すると砂漠地帯に突然現れる都市ドバイ。砂の中のダイアモンドのような存在で非常に華々しい。ドバイ経済は2008 年を絶頂にその後バブル崩壊と世界同時不況に遭い、多くのプロジェクトが遅延もしくは停止している。常に最新で奇抜なものが求められるドバイの開発地区に入ると確かに多くの超高層ビルが乱立しているが、その半分はクレーンが入ったり、シートで覆われていたりと未完成の都市という印象が強い。

ドバイ開発地区

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03_ドバイモールのパブリックエリアの天井
ドバイモールのパブリックエリアの天井

前回調査の 2003 年から 10 年。その間、海沿いの開発地区はさらに多くの高層タワーが建設され、それぞれが強い個性を主張するようになった。しかし全体的な都市照明を観察すると、ビル自体は特異な形状をしているが、メディアスクリーンのような LED をファサードに施すようなものは少なく、多くは地上からのフラッドライトやルーフトップのみをライティングしたもので、華美なものではない。地上面は20m おきに配置された高圧ナトリウムランプの道路照明でオレンジ色に染められている。街の中を歩いてみると道路全体が均等に照らされかなり明るいため、高さのある建築のファサード照明は地上からは見えにくくなっていた。高所から街全体を俯瞰すると、8 列ある車道が高圧ナトリウムランプで照らされ、走行する車のヘッドライトと一緒にビルのガラスファサードに映りこむ。都市全体の夜景を、遠方や高所からの見栄えを考え作られたかの様に感じた。

多様なスカイライト

ドバイは一日の日照時間が長いことから、多くの建物はいかに太陽光から熱を遮断し光のみを屋内空間に取り入れられるかを考え実践している。ドバイモールでは空間ごとにイスラム建築特有のパターンや形状を天井に施しており、屋内照明と外光がうまく調和していた。外光の取り入れ方としてはいい例といえる。照明もエリアによりテーマが決められており、器具や色温度に変化をつけ、超大型 LED ペンダントや、伝統的なエレメントを使用し造られたペンダントが用いられていた。壁や天井、床に様々なイスラムの伝統的パターンが描かれ華麗な装飾である。モールの全体的な色温度は 3000k 前後、照度は廊下中央が 100lx-150lx、店舗前は 350lx-500lx を実測した。

04_ブルジュ・ハリーファ124階からの撮影した繁華街俯瞰
ブルジュ・ハリーファ124 階から撮影した繁華街俯瞰

ドバイスーク周辺

09シェイク・ザイード・グランドモスク室内の断面スケッチ
シェイク・ザイード・グランド・モスク室内の断面スケッチ
16.ブルーモスク室内、礼拝しているイスラム教徒と観光客達
ブルーモスク室内、礼拝しているイスラム教徒と観光客達

“スーク” は日本で言うアーケードのある商店街のようなものだが、それぞれのスークで扱う物が分かれている。金や貴金属のみを扱うゴールドスーク、香辛料を扱うスパイススーク、川を挟んだオールドスークと3つの大きなスークが点在している。スークは木材で作られた屋根に小さな窓が設置され、それが風の抜け穴となり強い日差し避けとなっている。昼には白い住宅の壁に当った光が反射して小さな路地に光を落としている。旧市街地と呼ばれるこの周辺では小さな商店が多く見られ、夜になるとゴールドスークを中心に LED やネオン管で色とりどりな看板照明を作り、また店先には大量の蛍光灯を用いてギラギラと店先を明るくし多くの人を集めていた。ドバイ旧市街での主流は白色の蛍光灯のようだ。店の商品、看板を目立たせる為に過剰な照明を使用し、電気消費を考えると無駄をしているように思えるが、深夜のネオンで彩られた街からは人のエネルギーを感じた。

シェイク・ザイード・グランドモスク
(Sheikh zayed Grand Mosque)

シェイク・ザイード・グランドモスクはドバイの隣にある UAE の首都アブダビに2007年、総工費 550 億円を投じイスラムのデザインと近代的な建築技術を用いて作られた。ドバイやアブダビにある他のモスクとは違い、非常に豪華絢爛な造りをしている。季節ごとにファサード照明は異なる演出がなされ、カラーライティングなどで派手に照明される。室内は暖色の LED でベース照明がとられ、ドームにはコールドカソードを用いた間接照明が施されやわらかく紫の光で染められている。水盤が施設全体を囲み、照明で照らされた建物がその水面へ映り込んだ様は、非常に美しいものだった。中央の広場を照らすための投光照明が強いグレアを放っていて台無しにしていた。

ドバイの光環境

ドバイは大きく新市街と旧市街に分けられる。新市街は砂漠の埋立地に計画的に作られた街だが、都市照明においては照明計画がバラバラで統一感が無く、グレアも多い。旧市街は対照的に現地の生活により自然発生的に形成された為、ある程度の秩序を持った光環境だが、過剰な明るさや暗過ぎる箇所が多く見られ光環境のバランスが良くない。一つの街で全く違う表情を持つドバイが今後どのような発展をし成熟した光環境を作って行くかとても興味深い。

05_旧市街ゴールドスーク
旧市街ゴールドスーク
06_旧市街スパイススーク
旧市街スパイススーク

07_旧市街商店の看板照明
旧市街商店の看板照明

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